決して入りやすい店構えではない。だから少しの勇気を出して入ってきてくれたお客様に「商品の事を知ってもらいたい!」と心から思っている。だから、お客様と話をすることなく帰られると、とても落ち込む事もある。そんな一面も。
女性は服を買うのが大好きだ。かたや男性はそれにつきあうのが大変な苦痛だ。決めつけた言い方をしてしまったが、この意見が大多数を占めるのは間違いない。男と女の埋める事ができない溝。おそらく全世代共通。「しょうがないよ。違う生き物なんだから。」便利な言葉だ。誰も触れようとしないアンタッチャブルマター。かくして男性は女性が服を買う場面から撤退を余儀なくされた。しかも男性自ら意図的に。
この問題は解決不可能な葬り去られたものになったが、なんとそこに思いっきり切り込んできた男がいる。瀬下(せしも)清則。女性服を中心に雑貨、小物などを扱う「セレクトショップB.B.」の代表である。桜通りにある。商品コンセプトは「男性が好む女性服」。そして店としてのコンセプトは「女性だけでなく、男性も楽しめる店」。なんということだろう。彼は現代のドン・キホーテかもしれない。飲み屋で妄想を語っているならいざ知らず、本当に事業として挑戦するとは………。しかし、何故だか絶対に成功させてほしいと思える大いなる挑戦でもある。
自社オリジナルのプロヴァンススカートをはじめ、個性的な商品が店内に並ぶ。クオリティも高いので、一度買ってくれたお客様は必ず何度でもお店に来てくれる。買ってもくれる。オープンして7年。瀬下のコンセプトは府中において、そこそこの評価はされてきた。しかし、その一方で不満もある。「このコンセプトは、決して一部のマニア的な人に向けたものではありません。万人に必要な世界観だと思っています」。もっともっと多くの府中市民に喜ばれるはずだという自負がある。 瀬下の頭の中には、常にストーリーがある。男性と女性のストーリー。あらゆる場面を想定する。
そこからB.B.の商品は生まれる。反面、大量生産型のチェーン店は確かにすごい。売り方をよく知っているし、意外とデザインもいい。だが、この流れがさらに進むと、着る人の個性が失われていくのではないかと瀬下は心配している。そこそこ洗練されていて、没個性的。これはファッションだけにとどまる話ではないかもしれない。 ストーリー型の商品提案はひとつひとつに産みの苦しみがある。利益追求の観点からいくと非効率だ。しかも受け入れられなかったときのショックは大きい。こんなに落ち込むのなら、あまり想いを入れない方がいいのだろうか……と悩んだこともある。そんなときに限ってカップルが楽しそうにB.Bで会話している光景を目にする。有名タレントの衣装がずっと昔からB.B.に並べていたものだったことをテレビで目撃したりする。瀬下は今、理想とのギャップにもがきながらも確かな手応えを感じている。
四季がある日本に生まれてよかった、そう思える素敵なアイテムを厳選。
毎日の生活がちょっと華やかに、そんな洋服、雑貨、アクセサリーを並べています。