数多くの美容室がある府中地域においても、独特の空気感を持つHair Blue。店がチェーン店のように大きかったり、目立つ訳ではない。代表の横山ともう一人のスタイリストである江島。二人の「ギャップ」にハマる人が、なぜか多い。
美容室業界。どのエリアでも激戦になるが、ここ府中でも例外ではない。そんな中、差別化のためにまるでホテルマンのような接客を志す美容室も多い。接客が悪いよりは良い方がいいに決まっている。ただ懸念されるのは、お店が多店舗展開されてくると、サービスのクオリティを下げたくないためか、ある水準以上の接客技術を画一的にマニュアル化してしまうことだ。ある意味、技術においてもそうかもしれない。これは、実は業種関係なく、どこも一緒だ。─桜通り。ここはセンスのいい小さなお店が並ぶ、おしゃれなストリート。アーティスティックなお店たちの中でもひときわかっこよく目立つのが、Hair Blue。そこで働いているのは、代表である横山晃と江島陽介。このイケメン2人、実は従兄弟同士である。顔が似ていないから、誰も気がつかないだろう。兄弟経営というのはたまに聞くが、従兄弟とは…。経営者には、一般的に2種類のタイプがあると言われている。判断力や行動力を武器に、一匹狼的にバリバリと我が道を行くことでメンバーを引っ張っていくタイプ。そして仲間を作って、お互いのスキルや人脈を共有するタイプ。横山はどちらでもない感じがする。あえて言うなら本質的なことにしか興味がないタイプ。彼にとっての本質、それはお客様の髪の「健康」、自分の「技術」、そして「仲間」だ。Hair Blue自体、まさにそんな店。オープンから12年、ほとんど変わらない。「この雰囲気が好き」と通ってきてくれる人もいる。また、あなたも美容室に行った後にこんな悩みを持ったことがあるだろう。「切ってもらった時は良いけど、次の日から自分でうまくスタイリングできない」。横山は思う。「一瞬だけキレイなスタイルじゃ意味がない」。Hair Blueのお客さんの中には、「保ちが全然違う」と驚く人が多い。また、「髪の毛の手触りやまとまりが良くなったのがハッキリわかった」という人も。横山が口に出してお客さんに説明することはあまりないが、その秘密のひとつが、「ナノプレッソ」。これは美容業界で絶賛されているスチーマ。「髪の毛の状態から良くしてあげたいですからね」。深い。─1年半前、福岡で美容師をしていた従兄弟の江島が上京。そんなつもりはなかったが、しばらくの間一緒にHair Blueで働くことになった。「彼は、スッと入ってきた感じですよ。でもやっぱり血なのかな…根っこの部分は似ているような気がする」。つまり、余計なことはあまりしたくない。スタッフ同士の人間関係に疲れたり、マーケティング結果で店の方向性を変えたり。できればずーっと、来てくれるお客さんにつきっきりでいたい。…もしかしたら横山は、あまり経営者向きではないかもしれない。でも彼を見ていると、何となく応援したくなってしまう。気ままに見えてやっぱり、お客さんに集中しきっている雰囲気がどこか滲み出ているからに違いない。
九州・福岡で、江島は何度となく東京進出を試みていた。美容学校への入学。美容室への就職。スタイリストとしてもっと羽ばたくため。でもなぜかその度に何かが起こる。まる
で「今じゃないよ」と言われているかのように。結局、学生時代からアルバイトをしていた美容室で働くこと約10年。「俺が育ててやるから」。表参道のカリスマ美容師と肩を並べるほどの技術を持ったオーナーの言葉は現実になり、彼は福岡の有名店であるその美容室で、店長を任されるまでになった。「お客様に恵まれていましたね」。おばあちゃんにまで「若いのにしっかりしてるわね」なんて可愛いがってもらっていた。淡々と語る江島だが、実は東京進出の夢をあきらめていた訳ではない。彼がここ府中のHair Blueで働くようになってから2年になる。ちょうど彼が上京し、就職先を探していた頃、「今店のスタッフ俺1人だけなんだよ。しばらく手伝ってくれない?」。5歳を過ぎてからはほとんど会う機会もなかった、しかも偶然に美容師になっていた従兄弟に声をかけられた。─人の縁は不思議だ。「別に『将来一緒に店をやろう』なんて話していた訳じゃないんですけどね」。不思議だし、ちょっと運命的でもある。「今は、いい状態で働いているような気がします」。シャンプーからブローまで、ずっと1対1でお客さんに付きっきり。福岡で勤めていた美容室はスタッフも多かった。江島にとっても新鮮な環境。「でも、ただカットしたりパーマをかけたりするのが美容師の仕事ではないですよね。お客様の髪の毛に関わること全てに責任を持てる今、とてもやりがいを感じています」。年上の従兄弟であり、今や同志でありライバルでもある横山とは、余計な話をしたり、見栄を張り合う必要がない。ただ毎日、2人でお客さんを迎え、喜んでもらう。野望もある江島だが、ここで働くことが、妙にしっくりきているのも事実だ。
黙っていても、情熱とプライドに溢れている…そうは見えなくても。Hair Blueの2人は一言で言うと、自然体だ。肩の力が抜けている。店はチェーン店のように大きくはない。過度な接客はしない。「お客様のために、って皆さん言ってますけど、それって言葉だけなんてのは絶対に許されない」。考えさせられる言葉だ。横山はいわゆる店のスローガン的なことやキャッチフレーズ的なことはあまり語らない。「言うか言わないかではなく、やるかやらないか」だからだ。横山と江島、普段はニコニコしていてわかりづらいが、自分たちの技術に対するストイックさは半端ではない。そのための投資も惜しまない。「お客様のために」─口では一切言わないが、黙っていてもそこに向ける情熱やプライドが溢れている。彼らのそんなところを感じ取れる方なら、Hair Blueという空間は、きっとたまらなく心地良いものになる。ただ、彼らは寡黙ではない。ユーモアに溢れ、スローライフな感じの“いい奴”。技術に対するストイックさとスローライフな性格。このギャップにハマっている人も多いことだろう。
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営業時間/[ カ ッ ト ]10:00~19:00 L.O.
[パーマ・カラー]10:00~18:00 L.O.
定休日/火曜・第3月曜